面談での相談事項あれこれ

保護者相談

「きょうしろう」と申します。現役の公立小学校教員です。だいぶ年季も入ってきておりますが、まだまだガタはきておりません。気力充実、かつ肩の力を適度に抜きながら日々教師やってます。今回のテーマは保護者面談での相談事項についてです。参考になる事項が1つでも見つかれば幸いです。

不思議に思うかもしれないが、学年を問わず、保護者の悩みというか、気がかりな点というのはかなり共通している。低学年の保護者も高学年の保護者も、似たようなことで頭を悩ませているということである。その悩みの一番は「約束を守れない」ということ。特に全学年に共通して多いのが「決めた時間配分」についての約束。分かりやすい例でいえば「家庭学習の時間とゲームの時間の割合」ということになる。

なぜ守れないのか、それぞれの事情もあって一概にはいえないが、おおむね保護者も納得するのが「約束自体に無理がある場合」と「無理はなくても保護者が遵守の意志を貫けていない場合」の2点である。

よく引き合いに出されるのが「ダイエット」と「倹約貯金」だ。決意はしたものの、それに向かう努力の継続がどれほど難しいか、大人は全員知っている。成功させる秘訣があるとすれば、秘訣でもなんでもない「強固な意志」か、モチベーションが高いうちに行動を習慣化・パターン化してしまうという方法しかないように思う。

面談でもこんな展開で話すことが多いのだが、この二者択一となると、当然、保護者も子どもも「だったら習慣化で」となる。

子どもの行動を新たに習慣化するには、しかもそれが子どもにとって必要だけれど面倒で、場合により苦痛ともとれるという内容であるなら、むしろ覚悟が必要なのは保護者の側である。このブログの最初の投稿で示したように、約束を1つに限定して、それが完全に習慣として定着するまで、他のことを求めない、かつ、できている限りは認め、ほめ続けるという覚悟があれば、習慣化は見えてくる。

時間管理以外の相談事として頻度が高いのが「反抗期の訪れ」についてである。

一般的に「思春期」「反抗期」という言葉は小学校高学年から中学校あたりで該当すると思われることが多いが、実際は学年を問わない。成長の過程が早い児童は、低学年でも親への当たりが強くなり、場合により「死ね」「うざい」などの暴言を吐くこともままある。

反抗期やそれに伴う暴言は、保護者の心を削る。一生懸命に我が子と向き合おうとしているのに、理解しようとしているのに、返ってくる言葉があまりに冷たければ、それも無理はない。

だが、まず1つ断言できることがある。辛辣な言葉や冷たい接遇は「いつか必ず終わる」ということ。以前、私自身も息子の反抗期や暴言に悩んだことがある。そのとき、たまたまかつての教え子たちに酒席を設けてもらえたのだが、昔の担任からの相談に、教え子たちがこの言葉をくれた。「終わる日がくるよ」と。いま、その時期を迎え、確かにそうだとしみじみ思う。そしてあの頃、息子にまったく響いていないと思っていた言葉は、実はその心の深い部分を多少なりとも温めていたのだろうとも思う。

どの親にとっても、我が子の反抗期なんて未経験なのだから、どうすればいいのか分からないのは同じ。それでも我が子が好きだという気持ちはも同じでゆるがない。

だったら、親にできることは「大切だ!」「すきだ!」を、言葉や態度、または両方で表すこと。それに尽きる。そんな時期を経たからこそ、成長した我が子と飲む酒は、涙が出るほどおいしくて幸せだと感じられるものなのだろう。

あらあら、かなり本格的な反抗期への私見になったが、これが低学年児童の口ごたえとなっても、本質は変わらない。何をいわれても「かわいい」し「すき」だと思って、それを言葉と態度で表すということ。

これだけ話すと「いえいえ、それは分かっているけれど…」という顔を浮かべる保護者がほとんどである。私も聞く側なら同じように感じるだろう。「まだ年端もいかないし、ついこの間まであんなに人懐こかったこの子が、なんでこんな言葉づかいに!」なんて考えれば、確かに溜息のひとつもつきたくなる。

そこで発想の転換を薦めてみる。「まだ幼い段階での反抗だからこそ、大人の掌の上での戯言でしかない」「ついさっきまで、うるせーばばーなんて騒いでいたこの子が、いまは口を開けて笑いながらテレビアニメに没頭している」

つまり、ギャングエイジ(8歳~10歳付近の児童を指す)の反抗期は、親の裁量でコントロールできるかわいらしさの枠の中にあるのだ。そのかわいらしさは、夕飯のおかず、買い物同伴時のおかし、○○のごほうびのアイス、一緒にゲーム、一緒におふろ、一緒にねるなどなど、ありとあらゆる生活の場面で顔を出してくれる。

どんなことでもいい。子どもが笑顔になることを1つか2つ、与えてあげてほしい。おこづかいでもいい。その笑顔は、本人の気もちだけでなく、むしろ親の心を解きほぐす効果の方が大きい。

まとめると、どんな年代の子どもであっても、その反抗的な態度に対して親の側がゆるがなければ、いつかは終わりが来るし、そもそもその時期をどん底だと感じなくて済む。「楽しんでしまいましょう」というのは、いささか軽い表現が過ぎるが、可能な限り親の側が疲れない方法として、いいところに目を向け「どんなあなたもすきなのよ」と伝えることを、薦めることにしている。

今日もまた、最後までお付き合いいただき、ありがたき幸せです。また、お会いできますように。

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